乗鞍ヒルクライムへの道(仮)

Rule#32:Enjoy the Little Things.

ツール・ド・おきなわ市民210レースレポート

記憶が新しい内にツール・ド・おきなわ市民210当日のレース内容を書いておきたいと思います。

f:id:ogawork123:20161114214803j:image

スタートが近くなってきたので並ぶことにして、真ん中より少し後ろの位置で待機。そして程よい緊張感の中いよいよスタート。最初の集団内でのペースは考えていたよりもゆっくりで、これなら問題なく着いていけそうだった。普久川ダムまでの序盤70kmで最も怖いのが落車、そして中切れ。開始早々、小規模な落車が頻発して全くをもって生きた心地がしなかった。その度にラクシャーッ!ブレーキーッ!という怒号が飛び交う。これは被害を最小限に抑える為の注意喚起、自分も必死で声を出す。そして参加者の運命を一気に二分したのは本部町の海洋博前の落車だったと思う。それは道路が完全に封鎖されるほど大規模なものだった。仕方なく自転車から降りて沿道を通って前に出たものの、完全に中切れしてしまい先頭集団との距離が離れていた。これはまずい。第二集団で先頭を追うも距離が全然縮まらない。ほとんどの人が諦めかけていたと思うけど、1人諦めず声掛けしながらブリッジを試みようとしていた人がいた。確かにここで中切れしたら完走の可能性は一気に潰えてしまう。ここはいくらか脚を使ってでも先頭集団に復帰しなければならないと判断してその人に便乗させてもらった。そしてなんとか先頭集団への復帰に成功。一気に脚を使ったので、ここからしばらくは集団内で息を潜めて体力回復に努める。ギリギリ命綱は繋がった。

その後の大宜味、与那の区間は頻度こそ下がったもののまだまだ落車は発生していて依然として注意が必要だった。喉が痛くなってきて最初は風邪かなと思っていたけど、実際の原因は注意喚起が必要な時に声を出し続けていたからだった。落車が多いとは言っても210の人達の走りは総じて上手いという印象。それでも落車が起きるのなら集中力を常に全開にしてないといけない。ちょっとでも気を抜くと終わる。コーナーとかでも左右後方を確認して詰まった時にどこに逃げようか考えたり、思いつく範囲で出来ることは全てやった。それでも駄目な時は駄目なので、運の要素も強い。途中で有力選手達のトイレストップもあったけどこれが出来るのは本当に力のある選手だけで、ある意味特権とも呼べるものだと思った。完走ギリギリを掠めとることしか選択肢のない自分のようなスーパーグルペッターにはそんな余力はない。そしてついに普久川ダムの関門にたどり着いた。最初の鬼門は先頭集団でここまでたどり着くことだと思っていたけど、なんとかそれをクリアすることができた。自転車会で有名な人達と70km一緒に走れたのは願ってもないことだった。

普久川ダム1回目の登りに入ると集団の前の方の選手は序盤からP/W5倍くらいのペースで踏んで行く。本当に力のある選手以外はそんなペースで保たないことは承知なので最初からペースを抑えることに意識を持っていく。当初の作戦通りここからはP/W4倍付近の245Wをキープして登る。それ以上だと消耗が激しいし、それ以下だと完走の可能性がなくなってしまう。先頭集団とはここでお別れ。ここからの展開は不確定要素が多過ぎて難しい。ヤンバルクイナが飛び出して来ないか注意しながら淡々と登ってピークを迎えた。給水所があったけど、まだボトルの中の水は残っていたのでスルー。下りでは周りほどスピードが出せなくて遅れてしまった。登り終わりで一緒だった選手達がどんどん遠くなっていく。普段より攻めて走ったつもりだけど全然追いつけない。しかし、ある程度下って行くと前の人達がペースを緩めていたのでなんとか合流することに成功した。この先の奥へと向かう区間、出来るだけ人数は多い方がいいとの判断で待っていてくれたものと思われる。そういう判断ができる人が集団にいると心強いもので、その後の海岸線はペースに関しての声掛けがあったりして一定のペースが保たれた。出来るだけコバンザメ戦法で行こうと思っていたけど、20人ほどの集団内で比較的元気な方だったみたいなので先頭交代に積極的に加わるようにしてみた。実際は20人で回すのではなく、前半の10人で回すような感じ。良い感じのペースで与那まで戻ってくることができた。関門の時間まではかなり余裕があったと記憶している。しかし、この集団が完走できるボーダーラインの集団なんだろうなとは薄々感じていた。

そして2回目の普久川ダムに突入。ペースに差が出た関係で集団は消滅してしまった。事前に立てた作戦では2回目は225Wで登ろうと考えていたけど、思ったよりも脚が残ってなさそうだったのと時間に余裕があったのとで、ここで頑張るよりは脚を残すことを選ぶことにすることにした。それでも与那までの集団の中では比較的前の方で登り切れたけどやはり下りで離される。給水所ではボトルを1つ交換した。規定の場所にボトルを投げ入れて交換するというアイアンマン以来のボトルキャッチャーシステム。交換したボトルはもう戻ってこない。

その後は1人になってしまって結構まずい展開に。そのまま走っているとなんとか3人パックになれた。最初は力のありそうな方の声掛けで3人で回していくことになったけど、自分ともう1人は割と消耗していたのでなかなか先頭に出てもペースを上げられない。すると声掛けをしてくれた方が状況を察して先頭固定で前の集団までブリッジしてくれた。この人は神なんじゃないかと思った。おかげでそのあとしばらく集団内で脚を休めることができ、慶佐次の給水所でボトルを1本交換。しかし続く下り区間で再び中切れ。このレース出てる人達の下りのペースにはとても着いていけそうにない。それでも無理して落車を招くよりは今のペースで下ることを選ぶ。今度は前後に選手の姿が全く見えない完全に1人の状況になって焦ったけど、平坦区間に入ってから少し離れたところに10名くらいの小集団を見つけたので一か八か合流を試みる。失敗してもリカバリーできるようにP/W5.5倍までと決めて頑張る。なんとか成功したけど死ぬかと思った。追いついた集団は色んなカテゴリの人が入り混じっていてカオスな雰囲気。210の人達との連携はうまくいくけど、他のカテゴリの人達とはややうまくいかない部分もある印象。それでも今は集団でいれることがありがたい。積極的に先頭交代にも加わって一定のペースを保てるように努めた。

終盤の羽地ダムの登りに差し掛かるとやはり登りのペースに差が出るので集団は自然消滅。この辺りからは補給食も底をつき、ドリンクボトルも2つ共空に。更に脚が攣りそうになることが増えてきた。攣りそうになった時には攣り切らないように走り方を変えて対応する。意外とそうすると騙し騙し走れる。1回でも攣ると状況が厳しくなるので何が何でも攣らせてはならない。最後の関門も極端にペースを落とさない限りなんとかなりそうに思えた。ハンガーノックの可能性も考えてペースも関門通過の妨げにならない程度に落とす。ここまで来たら絶対に完走したい。

なんとか羽地ダムを越えて下り切り、最後の関門の川上を通過することができた。2回目の普久川ダムを越えた後もアップダウンの多い道が続き、かなりの苦戦を強いられた。ここまで来れば完走はほぼ確実と言えると思うけど、ここまで来れるなんて全く想像してなかったのでなんだか実感が湧かない。他の210の人と少し会話を交わしたりしながら最後の区間を走る。まだ多少は踏めそうだったのでラストスパートということでペースを上げてゴール。ゴールできたのが全く信じられない。それくらい実力以上に走れた1日だったと思う。相当運にも助けられている実感もあって、振り返るとここまで上手く行くことなんてそうそうあるものではない。普通はもう1度1日をやり直せればもっと上手くできたのではと思うところだけど、今回は反対でもう1度1日をやり直したら完走できないのではないかという気がする。

リザルトは距離208kmの獲得標高2600mを6時間16分で150位。走行データは平均速度33.1km、最高速度67.7km、平均パワー178W、最高パワー552W、加重平均パワー197W、平均心拍数162bpm、最高心拍数189bpm。

事前にStravaの過去の走行データとにらめっこして加重平均パワー200WのP/W3.33倍が完走のボーダーラインだと考えていたけど、大体それは合ってたんじゃないかなと思う。

f:id:ogawork123:20161114214909j:image

なかなか沖縄までレースで行くことなんて出来ないと思うので、最初で最後のつもりでアイアンマンの時以上に今回は頑張りました。実力不足を感じて一旦諦めたりもしたものですが、なんとか完走できたことは素直に嬉しいです。実力以上と言うかやったこと以上の成果は出ないものだと思ってましたが、こんなこともあるのかと驚いています。日頃一緒に走って下さっている皆さん、応援して下さった皆さん、ありがとうございました。

以上です。